カピタン漬けとは南蛮漬けのこと。「吉兆味ばなし」によれば、鱧に限ってカピタン漬けというのだそうです。
2−3センチの幅に切った鱧は、何もつけず素揚げにします。これは前日天ぷらを作った時に一緒に作っておきました。
素揚げにした鱧を加減酢につけていきます。米酢、その半量の酒、醤油の二杯酢に種を抜いた鷹の爪です。冷蔵庫に入れれば2−3日は持ちます。
食卓に出すときは加減酢から引き上げ、素揚げか焼いた獅子唐をあしらい、漬けておいた加減酢を少しかけ、鷹の爪を薄切りにして上に乗せます。
丸一日浸けましたが、とても美味しかったです。鱧のもちもちした食感と酢加減が丁度良く、絶品でした。
鱧のもう一品は芥子酢味噌和え。前日に湯引きしていた鱧に作り置きの
味噌の素に米酢と和芥子を加えました。
鯵の昆布締めの一つはわかめと胡瓜と一緒に酢の物。この酢の物は三杯酢です。
もう一品の鯵の昆布締めは私の定番、翁和え。とろろ昆布を絡めたものです。
この日特筆すべきなのが、鯵の中骨の唐揚げ。鯵を三枚におろして出た頭と中骨や腹骨は昆布と一緒に出汁をとったのですが、中骨は1本残して唐揚げにしました。
太い骨も細い骨も尻尾までサラサラと口の中で細かになり、とても美味しい酒のアテになります。塩をパラパラっと振り、いくらでも食べられます。1本でなく3本全部唐揚げにすればよかったと思いました。
ー閑話休題ー
昔、東に住んでいた時、ヒラメのお刺身を買いに行くお店がありました。ヒラメは東海岸の方が良いものがあります。とても感じの良いご夫婦二人で経営しているテイクアウト中心のお寿司と日本食料品店を兼ねていて、ヒラメを買うときはいつもそこから買っていました。
そして、ヒラメを買うと、いつもご主人が頭と中骨がありますが持って行きますか?と尋ねてくれるのです。
ご主人が出汁をとると美味しいです、とおっしゃるので、私が中骨は唐揚げにして骨せんべいにして食べるんです。というと、ご主人は目をまん丸にして、そんなふうに召し上がっていただけたら僕も嬉しいです。とおっしゃって無料で分けてくれたのでした。
久しぶりに骨せんべいを作り、東のあのお店を思い出しました。あれから約20年。いつもお店の片隅で本を読んでいた可愛いお嬢さんと素敵なご夫婦、どうしているのでしょう。
さて、話を前日の夕食に戻しましょう。
鯵のアラでとった出汁は少しばかり残っていた白菜や豆腐を入れてお味噌汁。
野菜の一品は蕪、蕪の葉、人参、レモンの塩もみ。
数えてみると七品。いつのまにか居酒屋並みの食卓になりました。
連日、お取り寄せの魚たちのお陰で、贅沢で幸せな夕食になりました。この日も誠にご馳走様でした。
Stay Healthy!