サンディエゴでは地域によって学校が始まったところもありますが、我が家の近辺は明日から新学期が始まります。
時間のあった夏休みに何冊かの本を読みましたが、そのうちの二冊に私の心はどっぷり浸かってしまいました。
一冊めは娘のところにいた時に読んだ村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、巡礼の年」。

この本の通奏低音として流れるリストの「巡礼の年」の中の「ル・マル・デュ・ペイ」。村上春樹の本にはよく音楽が絡みますが、彼のジャズはもちろんクラシック音楽の造詣の深さには舌を巻きます。
彼は非常に良い音楽的な耳を持っているばかりでなく、知識も豊富で、実に沢山の曲を色々な演奏家のもので聞いているのです。
この本の中に出てくる
ラザール・ベルマン演奏の「ル・マル・デュ・ペイ」をYouTubeで聞いてみました。そして世界各国の沢山の人々が「色彩を持たない多崎つくると、巡礼の年」からこのYouTubeにたどり着いていました。

そして、自分でもどうしても弾いてみたくなり、リストの「巡礼の年」の楽譜も買ってみました。幸い「ル・マル・デュ・ペイ」は私にも弾ける程度の難易さです。
「Le Mal du Paysはフランス語です。一般的にはホームシックとかメランコリーといった意味で使われますが、もっと詳しく言えば、『田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ』。正確に翻訳するのはむずかしい言葉です。」本の中で、灰田青年にこのように言わせています。
二冊目の本はドウス昌代の評伝「イサム・ノグチ」。これはサンフランシスコの近代美術館、SFMOMA で野口勇の作品に出会ったからで、本棚の奥から引っ張り出し、再読しました。

そして、ほとんど忘れていたことばかりで、まるで初めて読んでいるようにのめりこみました。
日本人の父親とアメリカ人の母親の私生児としてカリフォルニアで生まれ、日本、アメリカを行き来しながら孤独の中で育った天才芸術家。
この稀有な芸術家の内面に迫り、イサム・ノグチを色々な角度から描き切ったドウス昌代にも深い畏敬の念を覚えます。膨大な資料を読み、イサム・ノグチと関係した大勢の人々にインタビューをし、彼のあらゆる作品を鑑賞し、それは気の遠くなるような努力だったことでしょう。
本を読んで新たに気づいたのは、ここから車で1時間半のコスタ・メサのショッピングモールに
「イサム・ノグチの庭園の最高作」と言われている作品があるということです。
こんなに近くに彼の作品があるのに気がつかなかったということは、なんということでしょう。ここには是非行かねば、と思っています。
さて、このブログは一応レシピブログなので、最後に一昨日の夕食の写真を載せます。
キンキとごぼうの煮付け、ワタも種も一緒に輪切りにした若いゴーヤーとミニパプリカの酢の物、湯引きしたアオヤギの緑酢和え。キンキの見た目がひどくなってしまいました。お目汚し、悪しからず。
ご訪問ありがとうございました。