小澤征爾氏が亡くなりました。
一度生で聴きたいと思いながら、ついに叶えられなかったのは、痛恨の極みです。
訃報を聞いてから、毎日小澤征爾指揮のYouTubeを聴いています。そして、見ています。
ベートーベンの「運命」を皮切りに、「第八」「第九」、チャイコフスキーの「悲愴」、ストラビンスキーの「春の祭典」「火の鳥」バッハ、モーツァルト、ドボルザーク、ガーシュイン。。。。
なんと分かりやすい指揮でしょう。そして、どの音楽も素晴らしいとしか言いようがありません。
指揮者は音を出さない音楽家。手の振り方と体と顔の表情で音楽の全てを表します。一振りとも無駄のない動き、一振りごとに音楽の魂がこもっています。一振りごとの彼の気迫がオーケストラの一人一人から音を引き出すのです。
スコアを徹底的に読み込むこと。長大な交響曲やオペラを全て暗譜するのにどれだけの労力、努力、時間が必要だったことか。
音楽家の末端に席を連ねる者として、小澤征爾の存在の大きさに改めて感じ入っています。
世界にとって本当に大事な人をまた一人失ってしまいました。
音大の学生だった頃、彼が書いた「ボクの音楽武者修行」は私たちの間ではバイブルのような存在でした。
西洋音楽を根っこに持たない東洋人の私たちだって、西洋人と肩を並べ、或いは凌駕することができるのだ、という希望の光を与えてくれました。
小澤征爾は指揮をするだけにとどまらず、後進の指導、サイトウ・キネン・オーケストラの結成、そして、それはセイジ・オザワ・松本フェスティバルとして世界的な音楽祭へと発展していったのです。
彼の功績は枚挙にいとまがありませんが、世界のクラシック音楽を指揮者として牽引していってくれたことが、やはり一番の功績でしょう。
クラシック音楽を普段聞かないアメリカ人もSeiji Ozawaの名前は知っています。
自分の中で小澤征爾がこれほどまでに大きな存在だったことを亡くなって初めて感じ、自分自身が驚いています。
今ではYouTubeとCDでしか聴くことができなくなりましたが、でも、今でも聴くことができることに感謝しています。
合掌
Stay Healthy!